メーカー技術者の頭の中

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読書記録:会社のためではなく、自分のために働く、ということ

今年度に入ってから読んだ本で、最も共感した本である、「会社のためでなく、自分のために働く、ということ」について、感想を記録しておきたいと思います。

著者のチェ・イナ氏は、韓国の大手広告代理店の元副社長で、現在はソウルにて、チェ・イナ本屋を営まれていますが、非常にストイックなキャリアウーマンが仕事観について語る本、というのが本書の率直な印象です。

と書くと、昭和の仕事観を説いた本に見えてしまいますが、そうではなく、タイトルにもある通り、自分を犠牲にして組織や会社に尽くすのではなく、あくまで自分のために仕事をするべきである、結果的にそれが組織や会社のためにもなるのだから、というのが著者の仕事観です。

私もこの仕事観には共感しています。何故なら、その人がやりたいと自ら思い取り組むもの、つまり、自分自身のモチベーションで取り組むものでないと、様々な障壁を乗り越えて、組織や会社としての成果に繋がるようなものは生まれて来ないと、自分自身や、今まで所属してきた組織を見ていて感じているためです。

そんな感じで、タイトルを見た時点で、共感するところの多い本だろうなと思って読んだ本書ですが、自分自身だけでは上手く言語化できていなかった点や、新たな気づきが得られた点を中心に、以下記録しておきます。

 

 

自分のために働くことによる良いこと(私見)

タイトルにもある、 自分のために働くこと、それによる良いことは何か、直接的な表現として本書に書かれていた訳ではないですが、私としては以下のように解釈しました。

人間は社会的な生き物で、人間の本来の欲求としては自己実現が最上位に位置する以上(マズローの欲求理論の最上位の階層)、それらを叶えることが生きていく上で重要である。

自分のために働くこと、つまり、仕事において、自分のやりたいことを通じて、他者の役に立つ立っていくことは、それらを叶えるための有用な手段である。

 

仕事の本質を見抜く視点の大切さ

・事業の成否はその仕事の(本質としての)概念を把握しているか否かによるし、目の前の仕事でも、後でするべきことを先にしたり、先にするべきことを後回しにしたりすることでミスが生じる実態からもそうだと言える。仕事の結果よりも、そこから生まれる価値に注目し、その仕事にはどんな能力が必要で、自分のどんな能力が使われているのか、思いを馳せることが大事。

また、仕事の本質を理解していれば、ある仕事で自分自身が培った能力や経験を、全く異なる業界で活かすこともできる。例えば、著者の広告業界での仕事の本質は、ブランドを扱いながら、クリエイティブなソリューションを見つけることだが、その本質を捉えていたからこそ、書店のオーナーとしての現在の仕事に転身できた。

・本質を見抜くためには、仕事の核心に触れ、外から見ただけでは分からないものに出会うこと、そうして、自分なりの考え方、視点を身につけることが大事。それは、仕事にがむしゃらに取り組み、少しでも前に進むために昨日の自分を否定しながら思い悩んでいる中で贈られる、贈り物。

(これも一部私自身の解釈が入っていますが、新卒の頃の上司が「(技術や事業の開発を成功に導く上では)自分にしか見えない世界が見えたら勝ち」と仰っていて、仕事で成果を出すには、上司にも先輩にも、社内外のビジネスパートナーにも見えない何かを捉えられるようになることは、やはり必要なのだなと思いました)

 

仕事のオーナーになり、プロになり、自分のブランドを確立すること

・規模が小さくても、チームを率いるリーダーになると仕事の次元が変わるように、自分の仕事をこなすだけではなく、オーナーとして自分の仕事を捉え、より自身の仕事の可能性を広げられるよう食らいつき、会社の役に立っていくことが大事。例えば、会社にやりたくない仕事を命じられても、他人への迷惑や自分の価値観に反するものでない限り、できるだけ挑戦していくこと。これが自分の価値を上げることに繋がり、そうすると、プロとして信頼され、自身に仕事が集まり、より大きな仕事ができる可能性、高い成果を出せる可能性が高まる。

・ある分野で成功するためには、当然、高い成果は出さなければならないが、それは必要十分条件ではなく、その存在と魅力を世間に知らせ、顧客に選ばれなければ意味がない。自分をブランドとして見つめ、普及していくことが大事。そのブランドのコンセプトは、「自分の長所であり、他人と区分される唯一無二の価値であり、どんな仕事をやるべきか、いつやるべきか迷った時に振り返る指針」である。

 

日々の過ごし方

・働く時間の密度を上げること。自分のブランドを確立するためには、スキルや能力の向上に向けて、何かをコツコツ続けて自分のものにすることが必要だが、それ以外には目もくれないことが大事。

・とは言え、今の仕事が好きでない、好きな仕事をどうやって見つければ良いのか分からない場合もある。そのような中では、まずは今の仕事に対し、「時間と労力を費やして核心に触れる」ことが大事。最初からその仕事を好きになる必要はなく、時間と労力をかけて少しずつ慣れていき、外からは見えづらい仕事の魅力を知っていくこと。たいていの職業は本人が時間をかけ、努力してようやく芽が出る。(好きでない仕事を好きになることはなかなか難しくはあるが)主体的に何かをすれば、結果に関係なく楽しいと感じる経験をすることは、好きな仕事を見つける上で良い経験になるのではないか。また、(経験がしづらい状況においては)「手に入れるためにはまず投資する」という視点を持ち、行動することが大事。

(これも一部私自身の解釈を入れました。経験をすることについては、本人もそうですが、仕事を与える上司側が特に心がけ、部下に対して、その機会を積極的に作るべきことだとも、私としては思います。上位者として組織から与えられる権限や報酬には、その要素も含まれる訳で。)

・自分と、自分を見つめるもう一人の自分を分離して、自問自答を繰り返していくこと。

 

以上、私自身の解釈も含めて記録しましたが、「自分のために働くこと」は、個人と組織、両方の面で必要だと、今の私自身が強く感じているため、記事にまとめました。

・個人については、人口動態の変化やAIによる業務の代替、地政学など様々なリスクのある中で、自分自身のブランドを確立し、時代や組織の変化に縛られることなく、自分にしかできない仕事を通じて、誰かの何かの役に立って、報酬を得ることを自ら実践していくことが求められるようになってきたと感じています。

・組織としても、日々の移り変わりが早く、複雑化した社会で、持続的に収益を上げるには、従業員一人一人の成果を最大化することが必要で、そのためには、一人一人が自分の仕事に愛着を持って取り組み、自分の内なるモチベーションを源として、今までとは異なる取り組みをしないと、既存業務の延長上には、並外れた成果はないなと感じています。

このような状況下では、一人一人が「自分のために働く」意識を持つことは大事であり、自分自身は勿論、周囲にもこの考えを普及していけると良いのだろうなと思いました。

 

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