メーカー技術者の頭の中

メーカー技術者mが日々考えていることを綴ります

2024年1-4月の読書記録

最近、読書熱が高まって来ています。

普段は、読んだ直後に、XやThreadsに感想を記録していますが、後で見返せるように、定期的にブログにもまとめていきたいと思います。

 

 

1. なぜ働いていると本が読めなくなるのか

話題の三宅香帆さんの本。面白かったです。

私自身は働いてから本を読むようになり、本書で述べられている社会人像とは少し違う立場ではありますが、本を読み自分の世界を広げる、それができる程度の心の余裕は持っておきたいなと思いました。

私個人としては、新しいものを産み出すためには、今の自分が知らない世界、関係しなさそうな情報をいかにシャットアウトせず取り込めるか、少なくとも、頭の片隅には置けるかが大事だと思うのですよね。皆すぐに目に見えるもの、自分でコントロールできるものばかりに目を向けますが、アンコントローラブルな社会への意識は大事だなと思います。

books.rakuten.co.jp

 

2. 人生後半の戦略書

まだ人生後半とは思っていませんが、別のキャリア・人生に関する本を読んだ後に、関連する本がないかと探していた際におすすめされたので読んでみた本。良書でした。

人生後半とは、自分にとっては先のことと思いますが(そもそも、人生の前半における成果もまだ挙がっていないし)、人は老いるので、一生一つの領域で成果を挙げ続けるのは困難で、老いたことを活かせそうな別の領域に戦略的に乗り移る挑戦をすること、また、それを乗り切り幸せな人生を送る上でも、他者との繋がりがとても大切であること、複雑化した現代社会ではより大事なのだろうな、若い時にこのことを知れてよかったなと思いました。

本書の最後に書かれていた、3行の要約、それだけ読んでも分からない、解釈は読者に委ねられた3行でした。著者の思いが凝縮され、読者も(少なくとも私は)長く考えないと腑に落ちない3行。なかなか深い本でした。。

また、本書を読み、読書の意義は、今自分が悩んでいることについて、先人の知見・経験を元に解決のためのヒントを得ることだけでなく、まだ自分が経験していないことについて、先回りして知り、その時の対処法を想定しておくことにもあるなと思った一冊でもありました。

books.rakuten.co.jp

 

3. パワハラ上司を科学する

パワハラがどこで何故起こるのか、エビデンスに基づいて書かれた本で、タイムリーな内容だったこともあり、何度も頷きながら読みました。その詳細は本書に譲りますが、パワハラをなくすために必要と私が感じたのは、自分としっかりと向き合い、自分と他者との違いを理解し、他者を受け入れ、慈悲の心を取り戻す、そんな機会を組織の側から率先して作ることかなと感じました。

また、パワハラは、例えパワハラする人の指導が正しくて、それに耐えられる人がいたとしても、パワハラする人に対して心を開ける人はそういないと思うので、職場にとって損失だと改めて。少なくとも自分は心を開けないし、一度閉じた心を再び開くのも相当困難。そういう点で職場の心理的安全性はかなり大事ですね。恐らく、大前提ではないでしょうか。よく言われる、個々人が主体性を持って、活き活きと仕事に取り組み、成長できるか否かよりも、もっと大事なはずと、心理的安全性という概念について、考えるきっかけをもらった本でもありました。

books.rakuten.co.jp

 

4. 科学的根拠に基づく最高の勉強法

Xで知り興味を持った勉強法についての本。

アクティブリコールという概念について解説されていました。

学んだことを思い出す時間を作ることで、記憶への定着を図ること、実践していこうと思いました。本を読んだら、一度本を閉じて、本を見ずにその内容を思い出してみよう。ゲーム感覚で遊び心を。

books.rakuten.co.jp

 

5. デュアルキャリア・カップ

こちらもXで知り、パートナーの有無にかかわらず、話題に上っているようだったので、興味を持った本。確かに、現代社会でのキャリア形成という点で、パートナーがいるいないにかかわらず、読むべき本と感じました。

一方、今の私にとって、本書を実践するのは、また、将来本書のようなことが起こることを想定するのは、少々重く、読み進めるうちに、うーん…という気持ちにもなってしまい、今、この本の内容をしっかり頭にインプットするのは少々難しそうなので、その時が来たらまた読み返そうと思います。まずは自分と向き合い、自分が本当にやりたいことが何か、常に問い続けることが必要かなと思いました。

 

また、本書は、友人の結婚披露宴の前に読んでいたのですが、その結婚式では、パートナーがいたり、いなかったり、子供がいたり、いなかったり、今や様々な境遇の旧友たちと会った影響もあってか、読み進めているうちに少々気が重くなってしまったので、今ここでこれ以上の内容はまとめずに、必要になる時まで寝かせておきたい、そんな感想を抱いた本でもありました。ただ、あくまで今の私にとっての感想なので、今必要とされている方、または、必要とされている方が周囲にいる方にとっては、非常に刺さる内容だとは思いました。自分ともパートナーともしっかり向き合うことは、人生のどのタイミングでも大事ですね。

books.rakuten.co.jp

 

6. トランジションーー人生の転機を活かすために

「デュアルキャリア・カップル」にも引用されており、私自身も過去に読んだことのあった本書。再読したところ、今の自分にはこの本がぴったりで、色々発見がありました。どうやら、自分自身は今、トランジションの真っ只中のようです。そして、これまでのトランジションの経験からすると、今回も、自分の手で、今まで取り組んできたことを終わらせて、次の新しいことを始めることになるのだろうなと。変化を恐れず、また、焦らず慌てず諦めず、自分自身とじっくり向き合いながら過ごしていくしかないなと思いました。興味深かったのは、トランジションは意識して進行させる場合もあれば、無意識のうちに進行する場合もあるということ。大袈裟に構えることなく、自然体が一番かもしれません。

books.rakuten.co.jp

 

7. キャリアづくりの教科書

大作。超良書。今の私がまさに必要としていた本でした。

・読んだ直後の感想。

本書を読んで、自身のありたい姿は何か、そのために、どのようなキャリアジャーニーをしていくべきか、転職する場合も二手、三手先を考えて、長期的な目線でキャリアを作っていくこと、実践していきたいなと思いました。
そして、内容は勿論勉強になりましたが、それだけでなく、著者の非常に丁寧な語り口、そして、人材開発や組織への熱い想いが印象的でした。一つの意見を説明するだけでなく、その反対意見に対する説明まで丁寧に書かれた本書、自分自身も文章を書くときに見習いたいなと思いました。


・読み終わって2日経っての感想。

キャリアづくりというと、どうしても、1社にずっと勤めるよりも、先に転職の2文字が思い浮かびますが、今いる会社で自分の思い描くキャリアに合わせて、仕事の内容の変更や部署異動を願うのも手ではある。ただ、歴史の長い日本企業や、専門性の高い技術系の職種の場合、希望してもすぐには異動できないことも多いと思うので、難しいところですね。いつまで待つのかは自分で判断することが必要。一方で、技術系で、本書に書かれている、H型人材を目指す場合、本当に仕事のできる/役に立てる人材になるには、特定の分野の専門知識・経験がそれなりに必要ではないかとも思います。あくまで私見ですが、そのような知識・経験を得るためには、本書で言われているよりも少し長めの期間が必要な気もしました。その点で技術系の職種はかなり特殊で、時間的制限からら複数の職種を経験しづらく、なかなか経営に参画する技術者が生まれづらい所以にもなるのかなと。経営に参画する技術者、もっと増えても良いし、特に製造業の場合は増えるべきだと前々から思っていますが、キャリアの構築の仕方が難しいし、身近に答えがない。MBAをはじめとした啓蒙活動も必要な気がしました。

books.rakuten.co.jp

 

8. 科学的な適職

「キャリアづくりの教科書」を読んだ後、大分前に買って読み始めたものの途中で中断していた本書を読了。巻末の参考文献、学術文献がたくさん載っていて、まさにタイトル通りだなと。
本書は、仕事における幸福度は何で決まるのか、それを踏まえて、どのように職を選んでいくのが良いかが主に書かれていると思いましたが、あくまで幸福度が前提というのがポイントですね。転職するしない含め、本書での職の選び方にはとても同意しますし、示唆に富む内容でしたが、直近の仕事を本書通りにに選ぶか否かは自己判断が必要だなと思いました。幸福をいつの何と捉えるかという点も含めて(whatとwhen)。

books.rakuten.co.jp

 

9. 戦略の要諦

戦略とは、困難な課題に対し、克服可能な最重要ポイントを見極め、解決するための方針や行動の組み合わせのこと。戦略を立てる上で大事なのは、課題の特定、何が優先で何が後回しで良いか、手持ちのリソースで対応可能かの見極め、リソースを集中投入する決断。
個人的には、勝てる、つまり、他と差をつけられるところにフォーカスする勇気、特に、欲という誘惑に負けず、外部からの指摘というノイズに乱されずに、継続する決意が大事だなと思いました。

 

これは、個人のキャリア開発についても言えるよなぁと。自分の場合、自身のキャリアの目標に対する課題は、知財やビジネス・経営の知識・スキル・経験が足りないことなので、周囲がどう言おうがR&Dはそろそろ卒業した方が良くて、それができないなら、職を変えるなり何なり、一歩踏み出すべきだなぁと。労働時間にも仕事人生にも限りがあるので、選べるのであれば、自分がやりたいと思う仕事に精を出すべきだなぁ。今までは下っ端精神で降ってくる仕事は多少無理してでも全てやってきたけれど、そろそろ取捨選択すべきタイミングが来たなと思うこの頃です。尤も、仕事はチームワークなので、興味のある仕事しかしないというのはダメで、バランスが大事ですね。チームワークの良さは日本企業が誇るべき点であり、今後も維持していくべき点ではないかと思うので。日本式経営の強みというか。

books.rakuten.co.jp

 

10. オオカミ特許革命

MBA終えたら読むと心に決めていた専門書。良書でした。

持続的に収益を上げるには、他社に対する競争優位を築くことが必要ですが、本書の知財戦略をきちんと実行できれば、それだけでかなり優位に立てる業界・分野も多いように感じました。
競合品を引っ掛けられるような広い特許を書き登録に至らせ、分割出願も駆使しながら特許網を構築するためには、研究開発、知財、営業等各部門が一丸となり策を練り実行していくことが大事ですね。一研究開発部員の自分としては、本書を何度も読み直し自分のモノにして日々の知財業務に活かしたいです。

books.rakuten.co.jp

 

11. 社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!

大分前に購入したまま積読となっていた本書。

シンガポールの街の綺麗さが、都市国家としてグローバル競争の中で生き残ることと関係していたとは…街の成り立ちに想いを馳せるべく、再訪したいなと思いました。

books.rakuten.co.jp

 

12. 香港とは何か

Xでお友達が紹介していた本書。

以前、香港に足を運んだ際に見た光景を思い出しながら読みました。境界性が生み出す特殊さと、それ故の魅力。本書を読んで改めて香港に足を運びたいなと思いました。

books.rakuten.co.jp

 

13. 韓国語楽習法 私のハングル修行40年

MBAを終えて、英語に続き、他の語学を学んでみようかなと思い読んだ本書。韓国語は面白そうですし、近々韓国旅行に行くこともあり、学んでいきたいなと思いました。

その後、なかなか勉強は進んでおりませんが…気長に取り組もう…。

books.rakuten.co.jp

 

14. CASE革命

15. EVシフトの危険な未来 間違いだらけの脱炭素政策

モビリティ業界について理解を深めようと思い、まとめて読みました。モビリティ業界は100年に一度の大変革と言われていますが、大変革の結果がこれからの社会を大きく変えることになるなと感じました。産業界におけるその規模は勿論、より遠くへより短時間での移動を可能にし、人の可能性を大きく広げてきたという点で、社会への影響が極めて大きいですね。

また、巷ではEVが話題ですが、EVが既存のガソリン車をすぐに置き換えるのはなかなか難しいようにも思いました。車体のコスト、航行距離、電池の高効率化・安定生産が課題ですね。EVで解決したい課題がCO2排出量削減とすれば、EVだけではなく、燃料をCO2排出量の少ないものに変えることも有効なので、バイオ由来の燃料や水素を活用できるシステムの開発も大事。また、そもそも、CO2は発電所から排出されるものも多いので、排出量削減のためには発電における化石燃料への依存を減らすことも必要。なお、CO2排出量削減は喫緊の課題。ということで、日本の自動車メーカーはどのような戦略を取っていくのが良いのでしょうか。

books.rakuten.co.jp

books.rakuten.co.jp

 

16. 自動車の世界史 T型フォードからEV、自動運転まで

現在および未来のモビリティ業界について考える上で、歴史を学ぶことは不可欠だと思って読んだ本でしたが、その通りでした。自動車はその国の経済成長と密接に関わっているという点、ものすごく納得しました。自動車を作るには、人と技術が必要で、雇用を生み出してきたこと、また、自動車が普及することで、人々が空間的・時間的自由を手に入れて、様々な新しいことに挑戦できるようになったことが経済成長と繋がっていたように思います。100年に一度の大変革の今、モビリティ業界は今後どのように社会と結びつき、新たな社会を作っていくのか、個性ある各社がどのように強みを活かして、新しいモビリティを作っていくのか、とても興味深いものです。

books.rakuten.co.jp