メーカー技術者の頭の中

メーカー技術者mが日々考えていることを綴ります

「できない」と言うこと

何かが「できない」こと、そして、「できません」と他者に言うことは、必ずしも、悪いことではない、のではないでしょうか。
むしろ、「できない」ことを知り、逆に、何であれば「できる」ことかを考え、その「できる」ことに取り組んで、
新たに道を切り開いていくのが良いのではないでしょうか。

学生時代は、何事に対しても、「できない」のは、悪いことだと思っていました。
できないのは、自分の努力が足りないだけであって、ましてや、そのことを他者に言うなどとんでもないと思っていました。
私自身、小さい頃から、勉強、習い事、武道と、努力して「できない」ことを「できる」ようにすることが何より重視されるものに取り組んできたため、
更には、そのことを楽しんでいたためだと思います。

しかし、社会に出て、自分、または、自分たちでどんなに努力しても「できないこと」は思いの外たくさんあること、
一方、何かが「できなく」ても、別の「できる」ことを通じて、本来の目的を達成する方法も探してみれば結構あることを知り、考えが変わりました。

特に、新しい製品の研究開発の現場では、何かが「できない」のは当たり前です。顧客の要求性能を満たせない、良い値段で買い取ってもらえないなどなど。
そんな時に、何であれば「できる」のかを把握し、それを起点に、本来の目的=成果を出す、売り上げを立てる方法を考えることも多くあります。
むしろ、こちらの場合の方が多いのではないでしょうか。時間や労力の節約に繋がることもあります。

「できない」ことを「できる」ように努力するのは、勿論大事ですが、
ある程度努力してもできないものは、一旦置いておいて、「できる」ことに視点を移してみては如何でしょうか。
その際には、本来の目的を再確認しましょう。
今、何かが「できない」ことよりも、本当に達成したいことを達成できずに終わってしまう方が、よほど勿体無いことのはずです。