メーカー技術者の頭の中

メーカー技術者mが日々考えていることを綴ります

企業研究で感じていることその2

企業で研究開発を行っていて感じるのは、現象を数式·理論式で捉えることの大切さです。
と言っても、何のことやら?という感じと思いますので、
順に説明していきたいと思います。

まず、研究開発では、
·ある条件下での何らかの現象を科学的に解明し(=研究)、
·それを上手く利用して技術·製品を産み出しています(=開発)。

製品·技術を完成させ、研究開発を完了するには、いかに現象を上手く利用できるか、言い換えれば、多少条件が変わっても利用できるかが鍵となります。
つまり、「応用が効く」状態にするということです。

そのためには、現象を科学的に理解し、本質を捉えることが必要です。
ここで、現象を理解することとは、その現象を引き起こしている因子と、その寄与度を把握することですが、特に、科学においては、理論式·数式で現象を定量的に捉えることになります。
つまり、因子と寄与度を数式で書き表すということです。

数式で書き表すことができれば、多少条件が変わり、因子の大小が変化しても、どのような現象が起こるか、予測しやすくなります。
本質を理解し、応用が効く状態になったということです。

これは、数式で書き表せて初めて実現できることです。
言葉で因子や大体の寄与度を説明できるだけでは、ここまでは到達できないのです。

では、理論式·数式で捉えるには、どうすれば良いか。
まずは、学術論文などを通じて、人たちが確立してきた理論を見つけ、それに沿って考えることです。
特に企業では、全く新しい、今まで世になかった現象を扱っているということは、稀です。
それで解決できない場合は、因子や寄与度の大きさを少し変えたらその現象がどうなるのか、実験を通じてデータを集め、データを元に、背景にある因子と寄与度を見積もることです。
流行りの機械学習が活躍する場面です。


最後に、現象を数式·理論式で捉えることは、科学においては当たり前のことですが、実践するのは結構難しいです。

何故なら、これまでの世の中では、対象としていた現象が比較的単純で、そうした定式化の過程を経なくとも、たくさんの経験則を積み上げることで、研究開発が成功してきたことが度々あったからです

一方で、高度に発展した現代社会においては、対象としている現象が複雑で、たくさんの経験則を積み上げても、使いこなせるようになるには不十分、という場合も多いです。
また、世の中の移り変わりが速いので、ひとつの現象を扱って、ひとつの製品·技術を開発するだけでは不十分で、複数の現象を扱い、多種類の製品·技術を並行して開発していくことが求められています。
そのような場合は、たくさんの経験則を積み上げる時間はありません。超超長時間労働が必要になります。

ここで威力を発揮するのが数式·理論式で現象を捉えることです。
効率化·生産性の向上のためにも、取り入れていきたいものです。