メーカー技術者の頭の中

メーカー技術者mが日々考えていることを綴ります

科学も考え方の一つ

科学の理論をしっかりと理解すること、とても難しいですね。
大学1年生のときに、初めて科学の理論に関する講義を受けた際、担当の先生(教授)はこう言われていました。
「(有名な物理化学の教科書について)この内容を全て理解できたら教授になれるし、教授でも全ては理解できていないんじゃないかな。」

お恥ずかしながら、私は理解できていないです。
一方、企業での一応の研究開発業務はこなせるので、腰を据えて理論を勉強することから逃げていました。
しかし、最近、理論をしっかり理解することの大切さを感じ、勉強し直そうとしていて、その際の心構えを書いていきたいと思います。


まず、前提を。
理論を理解できずとも、大学での学生の研究や、企業での一応の開発業務はできます。
これまでの研究、開発で培われてきた知見があり、すべき実験が決まっている場合が多いためです。
特に、企業での開発の多くは、既に売り出されている製品について、その性能を少しだけ変える場合だと思います。
そのような場合、予め決まった手順でこの実験をする、ということが明文化されているはずなので、それに従えば良い(従うしかない)ということです。

一方、理論のしっかりした理解が必要と感じたのは、次のことを身をもって体感しているためです。
そのような製品開発でも、壁に当たったときは、理論を理解し、それに沿って現象を解析しながら進めていかないと、根本的な解決に繋がらないことが多いです。
仮に解決できたとしても、理論を理解できていないと、実験を繰り返すしかなく、時間と労力がたくさんかかります。
これは、0から全く新しい技術·製品の開発をするときに、製品化に向けて、越えなければならない技術的なハードルがある場合にもあてはまります。

そうして、難しい理論を理解する必要が出てくる訳ですが、取っつきづらい理論にどう向き合うか。
私が思うのは、科学も世の中にたくさんある学問の一つで、その理論は人間が考え出したもの、ということです。
能力の差こそあれ、同じ人間の考えたものであれば、理解できないほど難しくはないはずです。

身構えずに、本を読むのと同じ気持ちで、教科書や論文を読んでみては如何でしょうか。

また、学問の中で、科学特有の難しさは、たくさん式が出てきて、抽象的で、イメージを掴み辛いことではないでしょうか。
そんな時は、理論をイメージに落とすのが得意な方に、教えを乞うたり、または、実際に実験をしたりするのが良いと思います。
具体的なイメージを掴めて初めて腑に落ちるタイプの方(私)は特に。

私もまさに今、そのようにして、理論を理解するために、大学時代の教科書を開き直しているところです。
これから学ばれる方、一緒に頑張りましょう。