メーカー技術者の頭の中

メーカー技術者mが日々考えていることを綴ります

企業研究で感じていることその3

企業で研究をしていると、必ずしも事実をありのままに報告するのが良い、という訳ではない場合が多々あります。
研究を継続するという、研究員にとって、一番大切な、守るべき目標の下、多少なりとも、事実を好意的に解釈しなければならない場合があるのです。
研究者として、そういう場合もあると、割り切れるかどうかという視点は、企業、アカデミアのどちらで研究するのが自分自身にとって良いのかを判断する、一つの視点かなと思います。

ここでいう事実を好意的に解釈するとは、例えば、悪い実験結果が出た時に、それを事実として、そのまま上司に報告するというよりは、
今回はこのような悪い結果が出ましたが、こうすれば改善できますと、前向きに報告したり、
敢えて報告せずに良い結果が出るまで寝かせておいて、別の報告をしたりと、工夫することです。
そのためには、実験をする前に、良い実験結果が出た場合、悪い実験結果が出た場合の両方を想定し、特に後者の場合の代替案を考えておくことも大事です。

企業研究は、その会社の将来の利益に繋がる研究でなければ、基本的には続けることはできません。
上司もその点を理解した上で、部下の研究を見ています。
部下があまりにも悪い実験結果ばかりを報告していると、この研究テーマには芽がないのではないか、早くやめるべきではないかと考えるようになる訳です。
また、上に行けば行くほど、上司が自分自身では実験をしなくなるので、部下の実験結果や、部下が実験に対して抱いている印象を基準にして判断するので、部下が実験結果をどのように報告するのかは重要ということです。

と、書きますと、企業研究はなかなかシビアで大変なものであるような気もしますが、だからこそ楽しい部分もあります。
明確な目標を定めて、チームで取り組むこと、自分が研究開発を手掛けたものが世に出ると嬉しいこと、企業でしか味わえないこともあります。
また、私自身は、研究開発をやりながら、特許やマーケティングと言った、ビジネスの部分に触れられるのも面白いなと思っています。
企業の研究と、アカデミアの研究、迷ったら、一度、企業に就職してみるのも良いのではないでしょうか。
参考になれば幸いです。

※ 事実の好意的な解釈のやり過ぎには注意です。やり過ぎると、実験結果の改竄に繋がりかねません。改竄はいけません。研究開発の継続という、大義名分の下とは言え、超えては行けない一線はご自身の中できちんと設定しておきましょう!また、上司へ報告するまでに、先輩や同僚に相談してみるのも良いでしょう。